国策之研究 > 國策研究會綱領
昭和十九年三月十日制定
國策研究會は、國體至上の顯現である天皇陛下を護持し奉り、以て
四海に皇威を光被し、八紘を一宇に安泰ならしむるが、會是である。
我が會の淵源は、肇國以來二千六百年、漸く王政復古の御世に至り、
明治十五年大隈老侯興國の大志、此處に早稻田大學創設せらる、而し
て小野梓の主する所の「義務あらざるところ、權利あるべからず」に
始まる。臣民與祖國との紐帶に鑑み、昭和不朽の聖戰たる今大東亞戰
爭を完遂し、以て東亞千年の安寧を樹立するに、學徒たる我等、本朝
の永の御盾となりて、國運興隆に寄與せんとす。
然るに我等、學實時に遠く及ばず、機略楠公に遠し。拠りて、東亞
の干城神州日本の最高學府たる早稻田大學に集ひ、帝國智嚢の竿頭た
るべく、螢燈に卷を開き、雪光に筆を廻らす。意を遠く馳せれば、本
朝には英雄豪傑、雲霞の如く、尊王輔弼の臣數多なり。その傳統に則
り、此處に學の綱領を樹て、學の指針とす。諸學以て良知に銘じ、勵
むべし。
昭和四十五年五月二十七日制定
補・今共産主義の脅威日に隆く、暴徒日に狂たり。世に心あるの士、
密に抗するあるも、勢及びがたく、宰相の営為、江月に空し。忸怩た
るは我が早稲田、暴徒の拠と化し、之が巣となる。此処に我等再び一
層奮励努力すべく、愈愈以て起つべし。然るに先人の綱領見るべきあ
るも、時宜に適うべからず。幾は変じ参伍考量を要す。拠りて之を改
変し、諸学に披瀝す。ようよう銘じて学に励み、国運回天の大事に参画すべし。
平成十年十二月八日制定
再補・国策研究会も開会50年を経て、新たな時代に対応すべく、
新たなスタートを切るときが参りました。既に東西冷戦も終わり、イ
デオロギーも過去の産物となった今、われわれは、早稲田大学という
今も変わらぬ最高学府で学ぶ身として、国に対する責任があると考え
ております。そこで、今時綱領というわけではありませんが、学問に
は指針が必要なので、その方向性というべきものを示そうと思い、再
びこれを制定します。これは、日本が進むべき方向ともリンクするも
のと考えて頂いて結構です。部員の皆さんにおいては、これを軸に勉
強会を進めてください。
―綱領の解説として―
我々は、綱領に掲げられた目標の実現に向けて、学生という立場から、
でき得る限りの活動を積極果敢に行うものである。
下記に掲げたのは、そのための基本的指針である。
1. 憲法改正
一国の憲法典は、単なる法理論や国民の権利義務の規定を超えて、その国の歴史伝統、国柄を反映すべきものである。すなわち、法の歴史的・民族的
な連続性を尊重した、歴史法学の概念を採り入れることが肝要である。わが
国においては由来、「十七条の憲法」、「御成敗式目」など、優れた法体系
を有していたことは周知のとおりである。
而るに、わが国の現行憲法は、少数の、それも法知識が必ずしも充分でな
いアメリカ占領軍スタッフによって、ごく短期間のうちに英語で書かれた草
案を和訳したものに過ぎない。
わが国主権の喪失された時期に制定された、かかる現行憲法には、何らの
正統性も存しない。日本国民は一体となって、直ちに現行憲法の無効を宣し、
まったく新しい憲法典の制定に着手すべきである。
我々国策研究会は、憲法改正に向けた国民運動を広く普及し、これを実現
させるために、あらゆる努力を惜しまない。
2. 新しい教育
近年、青少年の精神の退廃が著しい。その証左として、未成年者による凶悪犯罪はあとを絶たない。このような状況を生み出した原因の多くは、戦後
教育のあり方に求められよう。
曰く戦前の軍国主義教育の反省、曰く自由・権利・個性の尊重、曰く伝統
からの解放、かくの如き主張は偏向した教師たちによって過度に推し進めら
れた。その結果、彼らの教え子は、放埓、怠惰になり、目上の世代に敬意を
払わず、目先の快楽の追求に終始するに至った。さらに道徳面のみならず、
いわゆる「ゆとりの教育」が、青少年の基礎学力の低下をもたらした。
このような流れは、即刻是正せねばならない。我々は、現行教育の問題点
を不断に追及・指摘しつつ、教育の正常化に努めたい。
3. 国益重視の外交
外交とは、自国の利益を最大化する手段に他ならない。ところが、貿易摩擦や安全保障を巡るアメリカとの交渉、中国・韓国の歴史問題を利用した理
不尽な内政干渉、そして北朝鮮の日本人拉致事件での対応、これらの案件で、
わが国外交が十全に機能していたとは言い難い。それどころか、国益を損な
いつづけ、外交はまったく機能不全に陥っていたと言っても過言ではない。
その理由として、他国の善意に対する盲信、国連崇拝、宥和や謝罪によっ
て波風を立てないことが外交といった意識が、一部の政治家、外交官、そし
て国民の中にあることが挙げられよう。
単なる思い入れや感情、惰性でつづけているODA(政府開発援助)は即時停
止すべきである。そして、国益を第一に考え、自国の立場を強く主張できる
外交を展開できるよう、大胆な意識改革を推し進めることが必要である。
4. EU的アジア経済圏の確立
冷戦体制の崩壊後、グローバル化の名のもとに、アメリカによる経済の一極支配は加速した。これに対抗するために、欧州ではEUの統合を強化・促進し、
ユーロという共通通貨を発行して、一大経済圏の確立が試みられた。
このような情勢において、わが国の経済力を維持発展させるためには、ア
ジアへのさらなる影響力の浸透が焦眉の急である。このことは、単なる心情
に由来するアジアとの連帯や、ユートピア的アジア共同体の結成を意味する
のではない。前項「国益重視の外交」で述べたように、あくまで日本の国益
を基礎とした政策でなければならない。
我々国策研究会は、第二次世界大戦後、大統領として「フランスの栄光」
を一貫して追求しつづけたド=ゴール将軍の欧州政策をモデルとして、日本
の対アジア政策を提唱していきたい。
5. 国土環境の保全
わが国は、太古より豊かな自然環境に恵まれ、調和のとれた美しい国土が形成されてきた。自然は大いなる普遍性を担保するものとして、日本人の間
では信仰の対象ともなってきた。
我々には、祖先より脈々と受け継がれてきたこの国土を保全し、将来世代へ
と伝えていく義務がある。そのためにも、自分さえよければそれでよいとい
うような、個人(中心)主義は排されねばならない。
無秩序な乱開発は慎まねばならないが、しかし自然にまったく手をつけない
ことが、必ずしも環境保全を意味するわけでもない。農業や林業の適度な振
興こそが、環境保全につながるのである。
我々国策研究会は、国土と自然を敬う気持ちを忘れず、人間と自然環境と
の適切な関わりを絶えず模索していきたい。
6. 非核三原則の再検討
わが国は戦後、アメリカ・旧ソ連・中国といった核保有国に囲まれ、さらに朝鮮半島という紛争発生地域を隣国にもつという厳しい戦略環境に置かれ
てきた。したがって、わが国国民に鋭敏な国防意識が芽生え、核戦略も含め
た、活発な防衛議論が為されて然るべきであった。
ところが、広島・長崎への原子爆弾の投下という経験に由来する感情的反
発、あるいは日米同盟によって「核の傘」が保障されているという慢心から、
日本人の間では久しく核兵器に関する議論はタブー視されてきた。
我々国策研究会は、国防に関するあらゆる議論にタブーを設けない。冷厳
な国際環境を直視し、これに対する現実的対応を考慮すれば、「非核三原則」
の見直しといった選択肢も、当然捨て去るべきではないはずである。平成15年
には、かねてより核武装の必要性を訴えつづけてきた軍学者・兵頭二十八氏の
講演会を国策研究会は主催した。
我々のこのような活動・提言が、遠からぬ将来、現実的議論であったとして
評価されることを確信する。
7. 自衛隊の国軍化
軍隊は、いかなる国家においても、その自存自衛のために欠くべからざる存在である。わが国では戦後、占領軍によって「押しつけられた憲法」の規
定のため、正式な軍隊をもつことを禁じられた。そのため、自衛隊が「専守
防衛」政策という制約のもと、軍隊の任務を代行してきた。
もとより、自衛隊の半世紀にもわたる活動は貴重なものであり、その存在
には敬意を表さねばならない。しかし、自衛隊はともすれば、米軍の補完勢
力のように位置付けられ、また正式な軍隊ではないために、国際法で規定さ
れた軍隊が受けて然るべき待遇を受けられない虞があるのも事実である。
このような問題を取り除くべく、我々国策研究会は、自衛隊の国軍への発
展的改組を強く要望する。
8. 伝統的道徳の復興
わが国は、江戸時代末期に受けた西洋からの圧力に対抗するため、明治維新を断行し、国家の近代化をはかった。明治の人々の必死の気概によっ
て、日本は植民地化を免れ、国の独立を維持したことは周知のとおりであ
り、このことはおおいに評価されよう。しかし一方で、「和魂洋才」がス
ローガンとして掲げられていたとはいえ、近世に大成され、その頂点を迎
えていた我が国固有の精神的価値体系は、近代以降の西洋化の流れのなか
で次第に軽視され、忘れ去られつつあったのも事実である。こうした傾向
は、大東亜戦争の敗北により決定的となった。
占領軍は、日本人の心に根付いていた、儒教的精神を基盤とした武士の
徳義、庶民の健全な良識ともいえる世見知とでもいうべきもの、そして二
千年あまりつづいてきた皇室を中心とする自国の歴史に対する素朴な敬意、
こういったものをすべて、「封建的」であるとして排撃した。日本人の中
にも、これに同調する者が現れた。その結果残されたものは、西洋の不毛
で硬直的なイデオロギーと結びついた、秩序を知らぬ自由、義務を忘れた
権利、野獣のような快楽主義ばかりであった。
このような風潮は日本という国家の消滅につながりかねない。我々は、
このような危機感をもたざるを得ない。日本人の精神に、再び伝統的美徳
が甦らんことを、切実に請い願うものである。
